2024年1月からの住宅ローン控除。
省エネ基準適合って?変更点と注意点
マイホーム購入を考えている人であれば一度は耳にしたことがあるであろう『住宅ローン控除』。この住宅ローン控除の要件が2024年1月以降から変更となります。
この記事では住宅ローン控除の概要や2024年以降に変更となる制度のポイント、注意点などをわかりやすく解説します。実際にどれくらい控除額が変わるか」や「制度を利用するときの注意点」についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください!
目次
■まずはじめに!住宅ローン控除とは?仕組みとメリットの解説
■2024年1月以降変更となる住宅ローン控除の適用条件
①2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅では、「省エネ基準への適合」が必須条件に!
②省エネ性能に応じて住宅ローン控除の借入限度額が異なる!
③住宅ローンの控除の申請に省エネ基準以上適合の「証明書」が必要に!
■省エネ基準以上の性能とは?長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅の違いや特徴
■省エネ性能に応じた住宅ローン控除の借入限度額と最大控除額
■省エネ基準以上適合の証明書を取得する方法や手続きについて
■住宅ローン控除の注意点
■まとめ
【まずはじめに!住宅ローン控除とは?仕組みとメリットの解説】
◇住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合に、所得税や住民税の一部が控除される制度です。この制度は、住宅の取得やリフォームによって生じる経済的負担を軽減し住宅取得を促進することを目的としています。しかし、住宅ローン控除を受けるには、一定の条件や手続きが必要になります。また、住宅の種類や性能、入居年によって、控除額や控除期間が異なるため注意が必要です。
◇住宅ローン控除の仕組みとメリット
住宅ローン控除とは年末時点の住宅ローン残高の0.7%を所得税額から控除するというものです。この控除は、税額控除と呼ばれるもので、所得税から控除しきれない場合は、翌年の住民税から控除されます。最長13年間(中古住宅やリフォームの場合は10年間)受けることが可能です。このように住宅ローン控除は、住宅ローンの利息負担が大幅に軽減できるというメリットがあります
【2024年1月以降変更となる住宅ローン控除の適用条件】
先ほど紹介した通り、住宅ローン控除は上手に活用すれば所得税や住民税の節税になります。しかし2022年度に制度が改正され、2024年1月以降は住宅ローン控除の適用条件が変更になります。変更となったのは大きく分けると下記の3点になります。
①2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅では、「省エネ基準への適合」が必須条件に!
②省エネ性能に応じて住宅ローン控除の借入限度額が異なる!
③住宅ローンの控除の申請に省エネ基準以上適合の「証明書」が必要に!
ではこれらの変更点を具体的に解説していきましょう。
【省エネ基準以上の性能とは?長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅の違いや特徴】
省エネ基準とは、住宅の省エネルギー性能を評価する基準のことです。
省エネ基準適合住宅は断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上の住宅のことで、省エネ基準以上の性能を持つ住宅には、以下のような種類があります。
長期優良住宅:省エネ性能だけでなく、耐震性や耐久性など、さまざまな角度から長期にわたって快適に住める住宅です。これまでは断熱等性能等級4以上であればOKでしたが、今後は断熱等性能等級5以上、一次エネルギー消費量性能6以上の両方を満たしている必要があります。
低炭素住宅:省エネと二酸化炭素排出を抑える目的に特化した住宅です。太陽光発電などの創エネ設備を搭載し、消費エネルギーの50%以上を自家発電や節電で賄うことが求められます。
ZEH水準省エネ住宅:省エネ基準適合住宅よりも基準が厳しく、断熱・省エネ・創エネを取り入れることで、電気やガスなどの家全体のエネルギー収支をゼロ以下にすることを目指した住宅です。断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上の性能を有する必要があります。
省エネ基準適合住宅:国が定めた省エネルギー基準を守って建てられた住宅です。2025年以降には新築住宅に義務化される予定です。
令和6年以降に入居する新築住宅に住宅ローン控除を適用させるためには、原則として省エネ基準に適合していることが要件となります。
これに伴い、住宅等の省エネ性能や入居時期によって、借入限度額が変動しますのでご注意ください。
【省エネ性能に応じた住宅ローン控除の借入限度額と最大控除額】
次に住宅ローン控除が適用される借入金の上限を住宅性能の基準別に確認しておきましょう。
(住宅:住宅ローン控除 – 国土交通省 (mlit.go.jp)
国土交通省が出している資料を見ると、令和6年以降から、住宅ローン控除対象となる借入限度額が減っています。
さらに注目すべきは新築住宅のその他の住宅が令和6年から借入限度額が0になっている点です。その他の住宅は
1.省エネ基準を満たさない住宅
2.2024年以降に新築の建築確認を受けた建物
この2つの条件がそろうと、新築でも住宅ローン控除の対象外になってしまいます。
また、2024年(令和6年)以降のそれぞれの最大控除額はこのようになります。
新築住宅の場合、一番控除額が大きいのが認定長期・炭素住宅で最大409.5万円の控除、一番控除額が少ないのがその他の住宅の場合で控除がなしとなるため、控除額の差が最大409.5万円となります。また、住宅ローン控除が適用される借入限度額も2024年に引き下げられるため、省エネ基準住宅であっても住宅ローン控除の恩恵が小さくなる点に注意が必要です。
【省エネ基準以上適合の証明書を取得する方法や手続きについて】
住宅ローン控除の適用を受けるには、省エネ基準適合住宅以上の住宅であることを証明する以下のいずれかの証明書の提出が求められます。
・建設住宅性能評価書
・住宅省エネルギー性能証明書
また、これらの証明書を取得する方法や手続きは、以下のようになります。
新築住宅の場合:設計段階で建築依頼先に相談し、適合性判定を受ける必要があります。判定は、所管行政庁や登録省エネ判定機関が行い、判定通知書の写しを建築主事や指定確認検査機関に提出します。
中古住宅の場合:取得後に住宅の省エネルギー性能を評価する必要があります。評価は、登録住宅性能評価機関や登録された建築士などが行い、建設住宅性能評価書や住宅省エネルギー性能証明書を発行します。
【住宅ローン控除の注意点】
これまで住宅ローン控除の概要や法改正による変更点などを説明しましたが、
住宅ローン控除にはいくつか注意点もありますので紹介します。
◇返ってくるのは支払った税額の範囲内
住宅ローン控除は、所得税や住民税の控除であるため、返ってくるのは支払った税額の範囲内です。
つまり、控除額が支払った税額を超える場合は、超えた分は返ってきません。
◇住宅ローン控除が使えない場合がある!
住宅ローンを契約すれば、誰でも住宅ローン控除が適用されるというわけではありません。契約する住宅ローンの内容、住宅ローンを契約する人、購入する住宅などにそれぞれ以下のような条件が定められており、それらを満たした場合のみ適用されます。
条件1 :住宅ローンの返済期間が10年以上あること
新たに借り入れた住宅ローンの返済期間が、10年以上ない場合には控除を受けることができません。また、適用を受けている間でも、繰り上げ返済などで、当初の契約の最初に返済した月から最終の返済月までの期間が10年未満になった時点で適用が受けられなくなります。
条件2 :自ら居住していること
住宅ローン控除が設けられた上記趣旨から、控除を受ける方が住むことが条件です。投資用マンション、土地のみの購入(家をしばらく建てない)には利用できません。ただし、転勤などで一時的に本人が居住していなくても家族が住んでいる場合には適用を受けられます。
条件3 :床面積が50㎡以上あること
マンションの場合では、専有部分の床面積(登記簿上)で判断され、階段や通路といった共用部分は含まれません。
条件4 :居住用割合が1/2以上あること
自営業などで自宅を事業に利用している場合では、その居住割合が1/2を超えている必要があります。
条件5 :合計所得金額が2,000万円以下であること
合計所得金額が2,000万円以下の方のみ受けることができます。2,000万円を超えた場合は、その年は控除を受けられませんが、超えていない年は受けることができます。
【まとめ】
住宅ローン控除は、住宅ローンの利息負担が大幅に軽減できるというメリットがあります。しかし、いつまでも続く恒久的な制度ではありません。近年の法改正を見る限り、住宅ローン控除の廃止や控除額の引き下げなどで恩恵が小さくなるという可能性も大いに考えられます。また現時点では2024年、2025年までに入居した場合は、住宅ローン減税を受けられますが、物件の種類によっては控除対象外になることがあります。対象であっても最大控除額が小さくなるので注意が必要です。控除の恩恵を受けたい方は、内容をよく理解し、賢く制度を利用しましょう。
【最後に】
結プランニングの相談窓口ではZEH住宅や耐震補強など災害に備えた家づくりの相談を受け付けております。また毎週水曜日に行っているオンラインセミナーでは『防災と家づくり』についてもお話しします。
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