水が飲める地域に引越しするの?

目次

水道事業の民営化とは

水道民営化が推奨される理由は

水道民営化によって水道料金に影響は

水は私たちのライフライン

【水道事業の民営化とは】

201812月に改正水道法が成立し、201910月、消費税が8%から10%に引き上げられたと同時に試行。そして既に民営化されていた電気とガス同様、水道民営化が始まりました。増税に気を取られて、水道民営化についてよく知らないという人も多いでしょう。

水道民営化と言っても、電気とガスのように私たち個人が自由に水道を選べるわけではありません。水道を選ぶ権利は各自治体に委ねられています。

水道普及率97.9%

浄水場や水道管の新設から給水、メンテナンス、水道料金の設定に至るまでほぼすべて市町村自治体が担っている。

改正案では、水道施設の所有権は公に残したまま、運営権を民間に委ねる公設民営(コンセッション)を拡大していこう、という内容だった。しかし、水道料金が電気代やガス代などほかの公共料金と比べて安価なのは公営だからである。民営の場合、自社の利益を優先し、水道代が値上げされる恐れがある。

各自治体の水道事業は給水から下水道処理、施設のメンテナンスに至るまで全て市民から徴収する水道代によって賄われています。ただ、厚労省によると、地方公共団体(1273団体)のうち、424団体(33)が原価割れの赤字状態である。

人口減によって料金収入が減り、節水型社会が進んでひとり当りの使用水量も減っているから。昨今の節水型トイレは10年前の製品と比べて1回あたりの使用水量が半分。これがあらゆる建物に急速に普及し特にビルやマンションの建設ラッシュが進む都市部の自治体にとって大問題である。

全国に埋設された水道管の総延長は67万㎞。その内法定耐用年数40年を超えた水道管は14(94000)漏水や破裂事故が起こる前に更新が必要。耐用年数を超えた老朽管のうち、更新は130.79%140.76%150.74%と超スローペース。財源問題と水道管の台帳管理のずさんさ、修繕履歴の確実な情報がなく、地面を掘らないとわからない状態である。

【水道民営化が推奨される理由は】

水道民営化が試行されることになった理由は、水道管の老朽化です。

日本国内にある水道設備の多くは、1960年頃の高度経済成長期に建設されたもの。日本の水道管の大分部分が、耐用年数である40年を越えてしまっているのです。実際に全国でも古くなった水道管による、水漏・爆破事故といったトラブルが報告されています。

早急に水道管を交換する必要がありますよね。ではなぜ耐用年数を越えた今現在、水道管の交換が進んでいないのか、それは交換にあたって莫大な資金と人材が必要になるためです。

水道管を交換するには、1kmあたり1億円以上もの予算が必要です。それに加えて相当な人材が求められます。対応することが難しいという政府の見解により、水道民営化が試行されたというわけです。

いくら水源があっても水道管が使えなくなってしまえば、私たちの元に水は届きません。しかしながら水道施設を整備し、水質を確保することは決して安易ではないのです。

【水道民営化によって水道料金に影響は】

水道民営化によって危惧されるのは、水道料金の高騰です。

元々水道料金は自治体ごとに料金差があります。最も水道料金が安いのは兵庫県赤穂市で853円。最も高いのは北海道夕張市で6,841円です。

赤穂市は水質が良く浄水にかかるコストが低いことに加え、人口が密集しているため配水管を配置する効率が良いなどの理由があります。一方夕張市は土地面積が広く住宅がまばらに存在することから、一人当たりにかかる負担額が多くなります。

赤穂市と夕張市の水道料金には、8倍の差がありました。しかし水道民営化によって、この差が20倍にも膨れ上がると言われています。

夕張市のように住宅がまばらに存在する地域では、水道管のメンテナンスに費用が多くかかり収益があまり望めません。そのため吸収先となってくれる企業が出てこない可能性が考えられるためです。

このような地域では今後より水道料金が高騰することが見込まれ、地域格差がさらに広がっていくのではないかと言われています。

【水は私たちのライフライン】

水がない生活は考えられません。今後、水道代を含む光熱費によって、我々の住む場所が限られてくるとも考えられるので、今住んでいる地域または検討されている地域をこういった側面から考えることも必要です。